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マナーガイド

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出産内祝いとは

マナーの専門家
現代礼法研究所代表 岩下宣子先生 監修

出産のお祝いをいただいたかたに、感謝の気持ちをこめてお礼のお返しと赤ちゃんのお披露目を兼ねて贈る「出産内祝い」。
大切なかたへ失礼なく今後も良好なおつき合いをいただくために、金額の相場や時期、渡し方など、贈るときに配慮すべき基本的なマナーを確認しておきましょう。

そもそも内祝いとは

ひと口に「内祝い」といっても、お祝い事の内容によってさまざまな種類があります。言葉の本来の意味、守りたいマナーについて理解しておくことで、気持ちの伝わる贈りものをお届けしましょう。

知っておきたい「内祝い」の意味

出産内祝いの「内祝い」という言葉にはどのような意味があるか、ご存じでしょうか。
ご結婚の際にはじめて使用したというかたも多いと思いますが、ほかにも快気内祝い、新築・開業内祝いなど、幅広く使われています。

「内祝い」のもともとの形

「内祝い」はもともと、身内にお祝い事があったときに自宅などにお客さまをお招きして食事をふるまう、お披露目やごあいさつの宴席を指す言葉でした。内祝いの席で飲食をともにすることで、縁を深め、ともに喜びを分け合うという意味がありました。ですから、出産内祝いの本来の意味は、新たな家族の一員をみなさまとの関係に加えていただくというお披露目の場ということになります。

また、内祝いでは、お招きしたかたや当日お呼びできなかったかたに幸せの一部をお持ち帰りいただく、お裾分けならぬ「お福分け」としてお祝いの品をお渡ししていました。これが現在の内祝いの習慣につながっているのです。結婚披露宴に参加していただいたかたには基本的に内祝いはお贈りせず、引き出物をお渡ししますが、これも披露宴が内祝いに当たるためなのです。

贈りもの・お返しとして

その後、家にお招きするという機会は次第に減り、代わりに「内祝い」として贈りものをお届けし、お披露目やごあいさつをするようになりました。そして、お祝いをいただいた場合のお返しを「内祝い」としてお贈りすることも一般的になりました。

形は変わりましたが、内祝いの持つ「喜びのお福分け」や「おかげさまで」という感謝の気持ちは大切にしたいもの。品物だけをお贈りするのではなく、気持ちを伝えるメッセージを添えることで、お相手との縁が深まるでしょう。

お祝いをいただかないお相手に贈りたいとき

お会いする機会の少ないかたや、妊娠をお伝えしていたかたなどに、出産のお知らせとして内祝いをお贈りしたい場合、気をつける点などを確認しましょう。

お相手に気を使わせない気配りを

本来の意味から、内祝いはお祝いをいただかないかたにお贈りしてもよいものです。とはいえ 、今はお返しとしての内祝いの印象が強まり、お贈りしたいけれど、内祝いがお祝いの催促のようにとらえられないかと心配になるかもしれません。

お祝いをいただかないかたへお贈りしたい場合には、「これまでのおつき合いの感謝の気持ちです」「これから、改めてよろしくお願いいたします」といった、こちらからの気持ちであること、ごあいさつであることをしっかり伝えるとよいと思います。また、金額もお相手に気を使わせない程度に配慮しましょう。

縁をつなぐ大切なマナー

さまざまな内祝い同様に、出産内祝いにも、守りたいマナーがあります。基本的なマナーの意味を知っておくことで、いっそう気持ちの伝わる贈りものができるでしょう。

マナーは気遣いと心配りを表すもの

内祝いには、お祝い事の内容ごとに贈るタイミングや「のし紙」のかけ方などにマナーがあります。例えば 、結婚内祝いや快気内祝いなどののし紙は結び切り、出産、入学などでは蝶結びを選びます。これは、結び切りには「一度限りの(一度限りとしたい)お祝い事」を祝う意味が、蝶結びには「何度くり返しても喜ばしいお祝い事」を祝う意味があるためです。
のし下の名前も、出産内祝いでは赤ちゃんのお披露目の意味から赤ちゃんの名前を書きますが、祝い事によって贈り主の名前を書く場合や、世帯主、連名などと変わります。

このように、マナーにはお祝いするかたと祝っていただくかたの、お互いへの気遣いが表されています。一定のマナーを確認して、守るようにしましょう。地域性もあるので、とくに家族に縁の深いお相手などには、どのようにお贈りするかをご家族に確認したり相談したりしてもよいでしょう。

お相手に合わせて臨機応変にしてもよいことも

押さえるべきマナーを守れば、品物選びなど臨機応変に対応してもよいこともあります。ご友人あてならカジュアルなメッセージや品物を選んだり、SNSで贈れるサービスを利用したりしても問題ありません。また、目上のかたからの高額なお祝いにはていねいなお礼とともに無理のない金額のお返しをするなど、関係性に応じた違いがあってもよいのです。
お相手のことを想いながら、気持ちの伝わる贈りものをお届けできるといいですね。

出産内祝いは「出産祝いへのお返し」と「お披露目」

目的は“幸せのお福分け”です

現代の内祝いは、“いただいた出産祝いへのお返し”と考えるのが一般的ですが、本来の「内祝い」は、出産祝いをいただいたかどうかにかかわらず、出産のご報告とごあいさつをすることを意味し、お世話になったかたやこれからお世話になるかたを家へ招いて、お披露目の宴を開くことでした。それが本来の内祝いの意味です。

そのため、内祝いはお祝いをいただいていないかた、ご近所のかた、これからお世話になるかたへ贈っても問題ありません。
しかし、その際は、お相手に負担を感じさせない“心遣い”を忘れずにしましょう。例えば、お赤飯やお菓子などを贈り「これからお世話になります。よろしくお願いします」と、メッセージを添えてごあいさつしておくのも、今後の良好なおつき合いに繋がるでしょう。

出産内祝いの贈り方・渡し方

出産のお祝いをいただいたら、感謝の気持ちをこめて贈る出産内祝い。直接、手渡しで贈りたいと思っていても、赤ちゃんが生まれてからはなにかと忙しく、外出ができない状況などで直接お会いすることが難しいときもあります。一方、郵送や配送でお返しするのは失礼にあたらないか、気にかかるかたもいるでしょう。どちらの方法で贈ったらよいのかを検討するために、「直接手渡しで贈る」場合と「郵送や配送で贈る」場合のそれぞれのメリットとマナーをご紹介します。

直接手渡しで内祝いを贈る

手渡しする場合は、本来の出産内祝いの意味に近く、直接赤ちゃんをお披露目できるのもメリットです。
お相手のご自宅を訪問することを考えて計画を立てるのが基本ですが、状況に応じて、対面でお会いすることを控えたいと考えるかたもいますので、事前にお相手へ連絡することをおすすめします。品物を手渡しするときに配慮すべきポイント・マナーもしっかりと確認しておきましょう。

直接手渡しで内祝いを贈るマナー

郵送や配送で内祝いを贈る

たくさんのかたから出産祝いをいただいた場合や、お相手が遠方のかた、ご多忙なかたの場合は、郵送や配送で贈るのが現実的です。
ご自宅に訪問されることが気になるかたにも気を遣わせず、なにかと忙しい産後や外出がしづらい状況でも、きちんと贈ることができるのがメリットです。
しかしながら、対面で渡せない分、こまやかな心遣いは必要です。直接お会いできない代わりに、お子さまのお披露目を兼ねて、写真つきのお礼状やメッセージカードを添えて贈るのもよいでしょう。受け取るお相手のことを考えて、品物を郵送や配送するときに配慮すべきポイント・マナーもしっかりと確認しておきましょう。

郵送や配送で内祝いを贈るマナー

出産内祝いのマナーに大事な3つのポイント

出産のお祝いをいただいたかたに失礼のないよう、感謝の気持ちをこめて贈るには、以下3つのマナーを最低限押さえておきましょう。

お返しの金額・相場はいくら?

いただいたお祝いの“半額”が基本です。
お相手に喜んでいただける内祝いにするためには、お返しする金額の相場を正しく知っておくことが大切です。基本は、いただいたお祝いの“半額”ですが、目上のかたからいただいた場合や高額の場合は、3分の1程度でも問題ありません。無理のない範囲で、お相手に合わせて気持ちをこめて品物を贈ることが大切です。

内祝いの「金額の相場」

お返しの時期・タイミングはいつ?

出産祝いをいただいてから1か月以内が目安です。
出産から産後100日までは、お七夜(生後7日目)やお宮参り(生後30日前後)、お食い初め(生後100日)など行事が立て続けに入ります。出産内祝いの時期としては、お宮参りの前後(生後30日前後)に贈るのがよいでしょう。生まれてから1か月ぐらいの期間で、出産祝いをいただくことが多いため、必然的にお宮参りの前後がお返し時期の目安になります。生まれてすぐにお祝いをいただいた場合でも、1か月前後であれば、お祝いをいただいたかたがたにまとめて贈ってもマナー違反にはなりません。

内祝いの時期・タイミングのマナー

内祝いの「のし(熨斗)」の書き方・かけ方は?

出産内祝いの場合、命名披露も兼ねて、赤ちゃんの名前にします。
ふりがなもふっておくと読み方も覚えてもらえてよいでしょう。表書きは、「出産内祝」か「内祝」として、水引は赤白蝶結びにします。贈るお相手が喪中の場合には、通常と異なる書き方をするのでしっかりチェックしておきましょう。

内祝いの「のし紙」のマナー

赤ちゃんの成長に合わせた「内祝い」の種類

内祝いには、さまざまな種類があります。
赤ちゃんの誕生や成長の節目である、次のようなお祝いごとについては、お祝いをいただいたら内祝いとして返礼品を贈るのが一般的です。

出産内祝い

出産祝いをいただいたときは、出産内祝いとして半額程度をお返しします。
一般的なお祝いでは、いただいたかた本人の名前で贈りますが、出産内祝いは、お披露目も兼ねて、生まれてきた“赤ちゃんの名前”で贈ります。

お宮参り内祝い

赤ちゃんが無事に生まれたことを感謝し、長寿と健康を祈り、はじめて氏神さま(産土神さま)にお参りに行く行事を「お宮参り」といい、生後1か月を迎えたころ、男の子は生まれて31~32日目、女の子は生まれて32~33日目に参拝するとされています。
ご両親・ご親戚のかたからお宮参りのお祝いをいただいた場合は、お祝いの食事会などにお招きすることがお返しとなります。
ただし、この時期に出産祝いをいただいたかたには、お宮参りを済ませたころに出産内祝いを贈りましょう。

初節句内祝い

生まれてからはじめての節句を「初節句」といい、女の子は3月3日桃の節句に雛人形を、男の子は5月5日の端午の節句に五月人形や鯉のぼりを飾ります。
ご両親・ご親戚のかたから雛人形や兜・鯉のぼりなどをいただいた場合は、お祝いの席へのご招待がお返しとなりますが、おみやげとしてお持ちいただける品物を用意するのもよいでしょう。遠方のかたからお祝いをいただいた場合は、初節句の様子がわかる写真などを添えて、内祝いの品を郵送や配送で贈りましょう。

七五三内祝い

子どもの成長の節目となる3歳・5歳・7歳の年に、これまでの健やかな成長を感謝し、今後の健康と成長を祈り参拝することを「七五三」といい、男の子は3歳と5歳、女の子は3歳と7歳でお祝いします。
ご両親・ご親戚のかたから晴れ着などのお祝いをいただいた場合は、お祝いの席へのご招待がお返しとなりますが、その際におみやげとしてお持ちいただける品物を用意するのもよいでしょう。遠方のかたからお祝いをいただいた場合は、七五三の様子がわかる写真などを添えて、内祝いの品を郵送や配送で贈りましょう。

入園内祝い

幼稚園・保育園などに入園する際、ご両親・ご親戚のかたからお祝いをいただいた場合は、お子さまの入園式の写真などを添えて、内祝いの品を贈りましょう。

入学内祝い

小学校・中学校・高等学校・専門学校・大学などに入学する際、ご両親・ご親戚のかたからランドセルなどのお祝いをいただいた場合は、お子さまの入学式の写真などを添えて、内祝いの品を贈りましょう。

ほかにも押さえておきたい
出産内祝いのマナー

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